曲面から機構まで、自由な設計を叶えるシステム
TopSolid導入の背景と経緯
2Dから3Dへ 様々なシステムを検討
当社がCADの導入を検討し始めたのは1989年でした。機構エンジニア向けには2DCADを導入し、こちらは順調に業務で使用しておりましたが、並行して試験導入したデザイナー向けの3DCADは業務に定着することなく自然消滅してしまいました。
しかし2000年頃、設計業界全体が3D化へと進む中、当社でも「やはり3D CADを導入しよう」という声が上がりました。書店で販売されていた3DCADのムック本を参考に、様々なCADの体験版を試しました。ハイエンドのCADの導入も検討しましたが、コスト面で上司から許可が下りませんでした。そんな中、展示会でTopSolidシリーズと出会い、長期間にわたる比較検討の末、導入することに決めました。
決め手は求めている機能とコストのバランスの良さ
TopSolidを選んだ最大の理由は、必要な機能が揃っているうえにコストパフォーマンスが非常に高かったことです。
意匠に凝ったデザインを扱うことが多いですが、曲面のモデリングに強く作りたい形状をきちんと作成できる、部品点数が多いアセンブリも問題なく作成できる、レンダリング機能もある、2次元図面作成のコマンドが充実していて描きたい図面がちゃんとかける…といった設計に必要な機能が充実しているにも関わらず、導入を検討した他のハイエンドCADと比較して価格が非常にリーズナブルでした。実際に導入し、長年TopSolidを使い続けていますが、使っていて機能が不足していると感じたことはありません。
導入後の効果
3D化によるメリット
導入当初は2Dから3Dというものに慣れる大変さこそありましたが、やはり2Dの図面を読み解くより、3Dモデルを扱う方が、誰が見てもすぐに同じように形状を認識できるため、圧倒的に分かり易くなったと感じます。社内で行う社長向けのプレゼンを3Dモデルで行ったこともありました。
また、2Dだと一枚の紙の中にしか情報がありませんが、3Dになったことで、モデル自体が情報を持っているため、設計変更に自動で追従することや、標準部品や過去のデータの流用ができるようになったことが一番大きいと感じています。
修正や手戻りの手間がなくなったことで設計が効率的に行えるようになりました。
ただ、当時はまだTOPsolid v6という1つ前のバージョンを使用していたため、UIやコマンド体系が独特でとっつきづらいCADという印象もありました。またエラーが起きた際の修復が難しく、苦労した部分もありました。

▲同社での製造品例
TOPsolid v6からTopSolid7への転換
バージョンアップを決めたきっかけ
2011年、鍵盤を中心に開発する部署でCADを増設する話があがりました。その際にTOPsolid v6ではなくTopSolid7を入れませんかと言って、入れてもらったのが移行のきっかけとなりました。
なぜそこでTOPsolid v6を増設するのではなくTopSolid7に切り替えたか、理由は大きく2つあります。
1つは鍵盤という製品の特長です。鍵盤の数は88個あるため、同じ仕組みが88個並ばなければ一つの製品が完成しません。そうするとアセンブリの規模が大きくなるため、TopSolid7の大規模アセンブリでも軽快に操作ができる点に惹かれました。
もう1つ良いなと思ったのは、TopSolid7では重力のシミュレーションができる点です。鍵盤は重りを使って動かすため、重力のシミュレーションが使えたら面白そうだなというところで、まず鍵盤開発部に3台TopSolid7を導入することにしました。
そして一昨年、TOPsolid v6の開発が終わるタイミングですべての部署でバージョンをTopSolid7に切り替えたのです。
インターフェースの使いやすさ
TOPsolid v6からTopSolid7への移行にあたり、社内からは多くの好評の声が上がっています。
「TOPsolid v6の特殊なCADの印象から、直感的で分かり易いCADに進化した」「UIがかっこよくてやる気が出る」といった、操作性やUIに関してかなり分かり易くなったと評判です。
中途入社の社員も多いのですが、これまで別のCADを使っていた方からも「TopSolid 7は使いやすく、良いCADだ」という評価をいただいています。
煩雑だったファイル管理が容易に
また、TOPsolid v6の時はファイル管理が煩雑で、保存するフォルダを変えたり、名前を変えたりすると、データが開けなくなるということが多々起きていました。しかし、TopSolid7は内蔵PDMにより、煩わしいフォルダ管理の必要がなくなって、データの管理が非常に簡単に行えるようになりました。
習得が容易
また、TopSolid7は習得もしやすいCADだと思います。新しく入った社員も教育セミナーのガイドをもとに何週間か研修をすると問題なく使いこなすことができるようになっています。不定期ですが、社内で質問会の機会を設けおり、TopSolid7の操作に慣れている担当が質問に回答することで、会社全体で知識を共有化しています。
今では全員がTopSolid7の操作を習得しています。

▲DE室機構設計課 森原氏
楽器という製品の規模、難易度に十分対応できるCAD
当社で扱うのは生楽器ではなく、電子楽器が主です。電子回路を使って音を出しているため、外側のケース部分の設計は音とは直接関係ありません。その分デザインは意匠を凝ったものになります。「これはどうやって作るんだ?」と思うようなとんでもない曲面がデザイナーから送られてくることもありますが、TopSolid7で作れなかったモデルはありません。
また、当社では楽器だけでなく梱包用の外箱の設計も扱っています。細長い製品が多いので、壊れないようにどうするべきか、考えることが多くなかなか難しい設計なのですが、段ボールをどう折るか等検証をするのに、TopSolid7の板金設計用のコマンドを使って行っています。
前述のとおり部品点数の多い鍵盤の設計も行いますし、歯車等のメカニカル的な設計もありますが、TopSolid7はそれらすべてに対応してくれています。
様々な機能が備わっているため、「これが足りない」「あれができない」と感じることがなく、機能面で不満を抱いたことはありません。
だからこそ、ずっとTopSolidシリーズを使い続けてきましたし、TOPsolid v6の開発終了を聞いた時も、楽器設計に必要な機能がすべて揃っていることから、他のCADへ切り換えるという選択肢は考えませんでした。
ドンカマチック復元プロジェクトのプレゼン用資料にTopSolidデータを活用
ドンカマチックDA-20、通称“ドンカマ”はコルグが初めて製品化したリズムマシンです。現在、浜松市楽器博物館に60年以上前に開発した初代ドンカマが保存されており、それを修復・復元するプロジェクトが2025年に実施されました。
ドンカマの内部構造を説明するためのプレゼン資料の中に、TopSolid7でデータを作成し、シミュレーションで動きをつけたものを使用しています。
ラジオボタンの動作のアニメーションもTopSolid7で作成しました。
実際には現存する一台のドンカマを解体することができなかったため、外から見て分かる情報から推測し、データの作成を行いました。
社内外問わず大きな反響がありましたが、このような大きなプロジェクトにおいても、TopSolid7の機能が役立ってくれました。

▲森原氏がTopSolid7で作成したラジオボタンの動作のアニメーション
今後の運用に関して
PDMを活用し、データ管理を一元化
現在は主にローカルPDMサーバーで運用しているので、今後はPDM Serverを利用して、TopSolid7をさらに活用して行きたいと考えています。
具体的には社内ライブラリの共有化による工数削減や設計の共通化、1つの製品を複数名でチーム設計できる体制作り、また、設計データを共有することでノウハウの蓄積や多様な働き方への対応などを目指したいと考えています。

▲同社を訪れた音楽アーティストによるサイン
導入先の概要
株式会社コルグは、電子ピアノ、シンセサイザーなどを扱う電子楽器メーカーです。1963年に開発した「ドンカマチックDA-20」は音楽制作現場におけるリズムマシンの代名詞にもなっており、同社の製造する楽器は国内外の有名アーティストに使用されています。

▲株式会社コルグ 本社外観
| 社名 | 株式会社コルグ |
| 本社 | 東京都稲城市矢野口4015-2 |
| 設立 | 1964年1月10日 |
| 代表者 | 代表取締役 CEO 加藤 美葉 |
| 資本金 | 4億8,000万円 |
| 従業員数 | 290名 |
| 事業内容 | 電子ピアノ、シンセサイザーなど電子楽器の開発、製造、及び販売、海外ブランド楽器などの輸入販売、音楽データ作成 |
| ホームページ | https://www.korg.com/jp/ |
| TopSolidの導入数 | TopSolid’Design 7 23本 TopSolid’Pdm Server 7 1本 |